<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 閣夜>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 閣夜>
<BookPage: 384>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
歲暮陰陽催短景，
天涯霜雪霽寒宵。
五更鼓角聲悲壯，
三峽星河影動搖。
野哭幾家聞戰伐，
夷歌數處起漁樵。
臥龍躍馬終黃土，
人事依依漫寂寥。
<End Poem>
<Translation>
年（とし）の暮（く）れに、陰陽（いんよう）の二気（にけ）が暮（く）れ易（やす）い冬（ふゆ）の日（ひ）ざしをいよいよ短（みじか）くするようにせき立（た）てており、空（そら）のはてともいうべき、この愛州（あいす）の霜（しも）や雪（ゆき）は、寒々（さむざむ）とした冬（ふゆ）の夜（よる）に今（いま）晴（は）れ上（あ）がっている。

明（あ）け方（がた）に聞（き）こえる鼓角（こかく）のひびきは、悲（かな）しくも勇（いさ）ましく、三峡（さんきょう）の天（あま）の川（かわ）は、星（ほし）の光（ひかり）が水（みず）にきらめいて戦乱（せんらん）不吉（ふきつ）の兆（きざし）を示（しめ）している。

戦死者（せんししゃ）を悲（かな）しむ野辺（のべ）の哭声（こくせい）は、何軒（なんけん）かの家々（いえいえ）のあたりに起（お）こって、戦争（せんそう）の続（つづ）く物音（ものおと）として聞（き）こえており、異人（いじん）の歌（うた）が、あちらこちらの漁樵（ぎょしょう）の人々（ひとびと）の中（なか）からわき起（お）こっている。

昔（むかし）、この蜀（しょ）の地（ち）に活躍（かつやく）した臥竜（がりゅう）と称（しょう）された諸葛孔明（しよかつこうめい）、躍馬（やくば）と称（しょう）された公孫述（こうそんじゅつ）の二人（ふたり）の英雄（えいゆう）たちも、けっきょくは、冥土黃泉（めいどこうせん）の土（つち）となってしまったのだ。わたしはといぇばン人間社会（にんげんしゃかい）の営（いとな）みにおいても、親（した）しい人々との音信交流（いんしんこうりゅう）においても、ただむやみにわびしくうらぶれ果（は）ててしまったことだ。
<End Translation>